
知っておきたい「爵位」の世界
Understanding the Ranks of Nobility
私たちが扱うアンティークの品々には、時を超えて語り継がれる物語が宿っています。優美な銀食器、風格ある家具、そしてきらめく宝石に目を凝らせば、かつてそれらを手にした人々の暮らし、そして彼らが属した時代の息吹を感じ取ることができます。その中でも、特に歴史の深奥に触れる鍵となるのが「爵位」の世界です。中世の君主制国家において、貴族のランクを示すこの栄誉ある称号は、まさに過去の物語を紐解くための重要な手掛かりとなります。
爵位とは?
爵位とは、簡単に言えば貴族のランクです。中世の君主制国家において、貴族の血統・世襲また国家功労者への恩賞に基づき授与される栄誉称号のことです。貴族制の存在したヨーロッパ世界と中国、日本でのありようは異なります。君主制であっても現在では廃止・形骸化されていますものの、イギリスでは尚健在です。

こちらは19世紀末から20世紀初頭頃に撮影されたと見られる、初代ミルフォード・ヘイヴン侯爵ルイス・アレクサンダー・マウントバッテンの家族写真です。「爵位」を持つ貴族の姿は、アンティークが彩るかつての貴族の暮らしを想像させ、歴史のロマンをより身近に感じさせてくれるでしょう。
@著者不明著者不明, パブリックドメイン, via Wikimedia Commons
イギリスの爵位序列
【貴族】
※貴族の爵位は基本的に世襲制ですが、男爵位に限り一代貴族(その一代限りで爵位が消滅する貴族)も存在します。
- 公爵(duke)
- 侯爵(marquess)
- 伯爵(earl)
- 子爵(viscount)
- 男爵(baron)
【準貴族】
※準貴族(準男爵、騎士爵など)の爵位は、一部の例外を除き、一代限りで保持され、子孫には引き継がれません。
- 準男爵(baronet)
- (騎)士爵(knight)
なお、現在貴族が統治する国は「公国」と言います。
- ルクセンブルク大公国
- モナコ公国
- リヒテンシュタイン公国
- アンドラ公国
以上の4つは国際的に承認された独立国として「公国」の称号を保持しています。

古い文献を紐解くと、必ずと言っていいほど「爵位」という言葉に出会います。この貴族のランクを示す称号を頭の片隅に置いておくだけで、きっと歴史の深層をより深く理解する一助となることでしょう。なぜなら、爵位は単なる肩書きではなく、それぞれの時代を形作り、文化を育んできた人々の生きた証だからです。
私たちのアンティークコレクションの中には、かつて高貴な身分の人々の手にあったであろう、時代を超えて語り継がれる逸品が数多く存在します。優美な銀食器が語る晩餐会の華やぎ、風格ある家具が湛える書斎の静謐、そしてきらめく宝飾品が放つ社交界の輝き―――。それらの品々に触れる時、遠い時代の貴族たちの暮らしや文化に思いを馳せる時間は、まさに至福のひとときとなるでしょう。
そして、その想像の旅に「爵位」という概念を重ね合わせることで、一つひとつの品が持つ物語は一層深く、豊かに彩られます。それぞれの爵位が持つ歴史的背景や、それを授けられた人々のドラマに想いを馳せながら、当店のアンティークと共に、知的好奇心を満たす歴史のロマンを深く感じてみてください。時を超えて受け継がれてきた品々が、皆様の日常に新たな彩りをもたらすことを願っております。

知っておきたい「爵位」の世界
Understanding the Ranks of Nobility